ポジティブシンキングと認知行動療法の違い。ポジティブシンキングは精神病に効果なし

ポジティブシンキングは日常のストレスから精神病まで、全てのものに効果があるとされていますが、それは過大評価です。ポジティブでないことが精神病の原因だとする人もいますが、これは間違っています。

私は不安障害にかかっているので知っていますが、ポジティブシンキングはうつ病や不安障害などの精神病には役に立ちません。ポジティブシンキングは健康な人だけに有効なもので、精神病に関する知識や経験がない人のためのものです。

この記事では、ポジティブシンキングと認知行動療法の違いを紹介します。もし、ポジティブシンキングを繰り返して効果がないなら、それは心の病気かもしれませんが、ポジティブシンキングは精神病はそもそも効きません。

 

1.ポジティブシンキングと認知行動療法(CBT)の違い

 
ポジティブシンキング 認知行動療法
(CBT)
対象 健康な人のストレスや不安 健康な人のストレスや不安
精神病(うつ病、不安障害、恐怖症)
効果 気分がよくなる
積極的になる
気分がよくなる
精神病が改善する
積極的と消極的のバランスをとる
方法 頭で考える 紙に書き出して検証、反論する
必要な
時間
数分 数分~数時間
※慣れると早くなる
習得
期間
なし 数週間~数か月

1-1.対象

ポジティブシンキング

健康な人は日常の不安やストレスにポジティブシンキングを使うことができます。精神病を除いて、適用できない範囲はないでしょう。

 

認知行動療法

認知行動療法もポジティブシンキングと同じように、日常のストレスや不安に対処することができますが、ポジティブシンキングと違う点が1つあります。それはうつ病や不安障害、恐怖症などの精神病に対しても有効であることです。

例えば、不安障害の1つである社会不安障害(SAD)は対人恐怖症ともいわれますが、これは不合理な考え方の癖が身についていることが原因です。認知行動療法ではこの不合理な考え方の癖を検証したり反論することで、これらを取り除きます。
恐怖症は何かに対して極端に強い不安や恐怖を感じるもので、対象によっては社会生活に問題が生じます。ポジティブシンキングでは、この恐怖症に対処することができませんが、認知行動療法は対処することができます。

認知行動療法は、大人のように論理や理屈を重視する人にも有効です。多くの成人はそうだと思いますが、正当な理由がないのに大丈夫であると信じることはできません。認知行動療法は論理や検証、実験を重視するので、科学に近いものがあります。

 

1-2.効果

ポジティブシンキング

ポジティブシンキングは辛い出来事が起きてもプラス思考で対処するものですから気分は良くなります。また、常に状況を肯定したり積極的な姿勢をとりますので、問題に立ち向かうエネルギーを生み出したり、悩むことでエネルギーを消耗することがなくなります。

ポジティブシンキングの問題の1つは、プラス思考しかないことです。
例えば、会社で人間関係のストレスを受けていて転職したいと考えるときに、ポジティブシンキングを使うと失敗するかもしれません。転職することは悪いことではありませんが、いつでも絶対に大丈夫と考えることは現実には役立ちません。

 

認知行動療法

認知行動療法では不安やストレスがあると、それを検証したり反論することで不安やストレスに対処します。ポジティブシンキングとは異なり、より合理的な考え方をするので、状況にうまく対応できるようになります。

認知行動療法では、必ずプラスに物事を考えることはありません。例えば、人間関係のストレスが辛くて転職したいと考えるときに、人間関係の問題は他の会社でも同じかもしれないと考えます。この場合には、転職をしないためのブレーキの役割を果たします。

車に例えると、ポジティブシンキングはアクセルだけですが、認知行動療法はアクセルやブレーキ、停車もあります。

 

1-3.方法

ポジティブシンキング

ポジティブシンキングの方法は苦しいときに大丈夫と自分に言い聞かせることです。この方法には個人差が多少はあるでしょうが、ほとんど同じでしょう。

 

認知行動療法

認知行動療法では、苦しい出来事があるとその状況や自分が感じたこと、その強さの度合いなどを書き出します。それらをもとに、自分がなぜ苦しんでいるかを確認し、それを検証したり反論します。

認知行動療法では、人間が悩んだり苦しむ原因は苦しい出来事ではなく、その解釈や不合理な考え方の癖から生まれると考えます。これらの解釈や不合理な考え方に反論することで、ストレスに対処します。

認知行動療法には多くのやり方があるので、ここでは1つだけを紹介しました。認知行動療法には他にも強い恐怖に対処する方法であるエクスポージャ(暴露療法)などがあります。興味がある人は調べてみてください。

ポジティブシンキングの方法は1つだけですが、認知行動療法の方法は数十あるので、ある方法を試してうまくいかなければ別の方法を試すことができます。うまくいく方法は性格などで違いますので、多くの方法がある認知行動療法はポジティブシンキングよりも成功する見込みが高いといえます。

 

1-4.必要な時間

ポジティブシンキング

ポジティブシンキングを使うために必要な時間は数分です。ポジティブシンキングでは苦しいことがあっても大丈夫、なんとかなると信じることですから、これ以上の作業はありません。

 

認知行動療法

認知行動療法では、辛い出来事があるたびにそのことを紙に書き出して、自分の感情や解釈、不合理な考えなどの検証や反論をするので時間がかかります。しかし、認知行動療法に慣れると、これらのことを短時間ですることができます。

 

1-5.習得期間

ポジティブシンキング

ポジティブシンキングは考え方の癖の1つですから、習得するためには数か月が必要かもしれませんが、実際にはポジティブシンキングは改めて習得するものではないでしょうから、必要な習得期間はゼロだと思います。

 

認知行動療法

認知行動療法を習得するには数か月が必要です。

自分で本を読んだりカウンセラーの指導を受けながら、認知行動療法を学ぶにはある程度の時間がかかります。また、1つの苦しい出来事をのりきることは大事ですが、その後の人生でつらいことが起きるたびに認知行動療法を自動で無意識に適用することができるように、数か月にわたって頻繁に繰り返す必要があるからです。車を運転することを学ぶには数か月が必要ですが、認知行動療法も同じです。

不安やストレスを感じる原因は不合理な考え方や癖であると書きましたが、認知行動療法は苦しまないようにする考え方や反論の癖です。考え方の癖を置き換えるには、それなりに時間がかかります。

 

2.おわりに

認知行動療法は習得することに手間や時間がかかりますが、一度身につけるとその後は一生使うことができます。日常の不安やストレスを感じるたびに、自動で無意識に認知行動療法を使うようになると、認知行動療法をマスターしたといえるかもしれません。

認知行動療法の習得は自分で本を読むことでもできます。試しに自分でやってみて、うまくいきそうならカウンセラーの指導を受けてもいいかもしれません。

認知行動療法はポジティブシンキングよりも優れていると思いますが、精神病の治療には薬物療法もあるので、選択肢を認知行動療法だけに限定することは間違っています。例えば、不安障害の治療では薬物を使って状態をよくした後に、認知行動療法でそれを補うこともあります。

 


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