人間の心臓が鼓動する回数(心拍数)には上限が定められていて、心拍数が上がるランニングなどのスポーツをすると、心拍数を無駄遣いして寿命が縮むという考え方があります。
しかし、この考え方は間違いであり、ランニングする人の心拍数はランニングしない人より少なくなります。
ランニングには心拍数を増やす効果と減らす効果が両立するので、健康への影響を考えることが難しくなりますが、これを評価することはできます。
この記事では、ランニングが心拍数に与える影響を紹介します。ランニングしても心拍数が増えることが原因で、寿命が縮むということはありません。
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1.ランニングやジョギングと心拍数
1-1.ランニングやジョギングの心拍数への影響
ランニングが心拍数に与える影響には以下の2つがあり、心拍数を増やすものと減らすものです。
1つ目の影響は、ランニングしている際中に心拍数が増えることです。ランニングしていると体は多くの酸素や栄養を必要とするので、心臓は心拍数を増やすことでそれに対応します。
2つ目の影響は、ランニングを習慣にしている人の安静時の心拍数が減ることです。ランニングなどの持久系のスポーツをする人は、心臓や血管などの循環器系が鍛えられているので、心拍数が減ります。
これはアスリート心臓やスポーツ心臓と呼ばれるものです。
1-2.心拍数の計算
ランニングする人としない人の心拍数を計算すると、以下のようになります。
ランニングしない人、ランニングを0.5時間・1時間・2時間する人の心拍数、ランニングする人の休養日の心拍数を紹介します。
運動時の心拍数 運動の時間 |
安静時の心拍数 安静の時間 |
合計心拍数 [日] |
|
---|---|---|---|
ランニング しない人 |
なし | 60回[分] 24時間 |
86400 |
ランニング する人 |
150回[分] 0.5時間 |
54回[分] 23.5時間 |
80640 |
150回[分] 1時間 |
54回[分] 23時間 |
83520 | |
150回[分] 2時間 |
54回[分] 22時間 |
89280 | |
なし (休養日) |
54回[分] 24時間 |
77760 |
計算では、運動時や安静時の心拍数に以下の値を使用しました。
ランニングしない人の安静時の心拍数:
成人の心拍数の平均は60程度とされています。
ランニングする人の運動時の心拍数:
ランニングは有酸素運動であり、その心拍数は最大で150程度です。100m走などの短距離走では心拍数が150を超えることもありますが、この心拍数を保ちながら有酸素運動をすることはできません。
ランニングする人の安静時の心拍数:
ランニングなどのスポーツをする人は心臓や循環器系が鍛えられているので、心拍数が少なくなります。その効果を-10%としました。例えば、私は5年間ランニングを続けていますが、私の安静時の心拍数は50くらいです。
1日の合計心拍数:
1日の合計心拍数は運動時の心拍数と安静時の心拍数の合計です。
1-3.ランニングすると心拍数は減る
ランニングする人の心拍数は、ランニングしない人の心拍数より少なくなります。ランニングしている際中には心拍数が増えますが、安静時の心拍数が少ないので、1日の心拍数の合計も少なくなるからです。
2時間以上のランニングをする人は、ランニングしない人より1日の心拍数の合計が多くなります。しかし、休養日を考慮すると、ランニングする人はランニングしない人より心拍数の合計が少なくなります。
ランニングすると心拍数が増えて、寿命が縮むというのは間違いです。反対に、心拍数を節約することにつながります。
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2.筋トレで安静時の心拍数は減らない
健康のための運動には筋トレがありますが、筋トレをしても安静時の心拍数を減らすことはできません。
安静時の心拍数を減らすには心臓を発達させる必要がありますが、これには有酸素運動が適しているからです。筋トレは無酸素運動ですから、心臓が発達しないからです。
無酸素運動は辛いので、心臓を発達させる効果があるように見えます。しかし、無酸素運動は時間が短いので、心臓に与える負荷も小さくなります。10分の筋トレと30分のランニングでは、ランニングのほうが心臓に負担がかかります。
ランナーはゆっくり長時間走ることで、心臓を鍛えます。
無酸素運動のランニングも同じように、心臓を発達させることができません。100m走などの短距離のランニングは無酸素運動ですから、このタイプのアスリートはスポーツ心臓になりません。
実際には、短距離のアスリートは疲労回復のために軽いランニングをするので、ある程度は安静時の心拍数が減っていますが。
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3.おわりに
ランニングなどのスポーツをしても心拍数の合計が増えることはないので、スポーツを回避する必要はありません。
スポーツには体重を維持したり、筋肉を維持するなどのプラスの効果もありますので、スポーツをすることがおすすめです。
健康を維持するためのランニングとしては、1日に30分~60分、5km~10km程度のランニングで十分です。
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